子宮頸がんは子宮の入り口に出来るがんです
子宮頸がんは子宮の入り口に出来るがんです。子宮にできるがんを子宮がんと呼んでいますが、子宮がんはがんができる場所によって子宮頸がんと子宮体がんに分けられます。子宮頸がんと子宮体がんは全く異なるがんで、できる場所が異なるだけでなく、原因やなりやすい年代も異なります。
子宮体がんは赤ちゃんが育つ場所(体部)にできるがんで、閉経後(50歳~)の女性に多く見られ、子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)にできるがんで、がんになる原因が解明されています。最近では20~30歳代の若い女性に急増しています。子宮頸がんは、発病する前に発見することができるので、定期的に検診を受けることが重要です。
初期の子宮頸がんはほとんど自覚症状がありません。
しかし、がんが進行すると月経でないときの出血や、性交渉の際に出血がみられることもあります。
症状の例として下記のものが挙げられるので、少しでも気になる症状があれば医療機関を受診することをお勧めします。
- 性交時、月経時以外の出血
- 茶褐色、黒褐色のおりものが増える
- 月経の量が増えたり長引いたりする
- 下腹部、腰が痛む
子宮頸がんは原因がはっきりと解明された数少ないがんです
子宮頸がんは発がん性ヒト・パピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因で引き起こされることが解明されています。
ヒト・パピローマウイルス(HPV)には100以上ものタイプがあり、全てのタイプが子宮頸がんの原因になるわけではありません。子宮頸がんは高リスク型HPV(15タイプほど)と呼ばれている一部の発がん性ヒト・パピローマウイルス(HPV)によって引き起こされます。
発がん性ヒト・パピローマウイルス(HPV)は性交渉により感染します。このウイルスは性交渉の経験がある女性であれば、誰でも感染したことがあると考えられているとてもありふれた存在です。
ヒト・パピローマウイルス(HPV)に感染しても多くの場合は、その人の免疫力によってウイルスが体内から排除されます。しかし、10人に1人くらいはウイルスが排除されずに感染が長期化(持続感染)することがあります。
この場合、ごく一部の人では長い年月(ウイルス感染から平均で数年~10 年以上)をかけ、前がん状態(異形成と呼ばれる)から子宮頸がんへと進行することがあります。持続感染する原因はまだ明らかにはなっていませんが、その人の年齢や免疫力などが影響しているのではないかと考えられています。また、HPV に持続感染して異形成になっても、途中でHPV が消失し、それに伴って異形成も自然に治癒する場合がほとんどです。
つまり、子宮頸がんとは誰もが感染するヒト・パピローマウイルス(HPV)の感染が消失せずに長期化したときに、ごくまれに起こる病気なのです。
子宮頸がんは発がん性ヒト・パピローマウイルス(HPV)の長期間の感染が原因で引き起こされることが解明されています。しかし、発がん性HPVに感染しても子宮頸がんになるのはごくまれです。ほとんどのHPV感染は一時的で、約90%はHPVが自然消失します。しかし、約10%のHPV感染ではウイルスが消えずに感染が長期化(持続感染)します。この場合は将来、子宮頸がんに進む可能性があります。
発がん性HPV感染が長期化しても簡単にはがんにはなりません。HPV感染から子宮頸がんになるまでは数年~10年以上の時間がかかります。また、いきなりがんになるわけではなく、がんになるまでの間には細胞の形態が変化を起こす「前がん状態(異形成)」が長期間にわたって見られます。この異形成も程度の軽いものから進んだものまでありますが、いずれも検査で見つけることができます。ほっておくとがんに進行する可能性のある変化が進んだ異形成の場合は治療を行ないます。異形成は簡単な治療で完治します。
また異形成になってからでも、細胞変化の程度が軽い場合の多くは途中でHPVが消失し、それに伴って異形成も自然に治癒します。
異形成の程度が進んだ病変の場合は、ほっておくと子宮頸がんにまで進行する場合があります。定期的に検診を受けていれば、がんに進行してから見つかることはまずありません。確実に異形成の段階で発見することができます。